5月2日samedi(曇り)/ヌフシャトー(Neufca^teau)

列車を降りたら、ドンヨリとした空からにわか雨がポツポツ降ったり止んだりしていて、少し気分が悪くなる。

ヌフシャトーはかなり小さな町で、少し歩くともう自然でいっぱいになる。
駅から歩いて銀行でスペインペセタをフランスフランに両替してもらい、ホテルを探すが、3軒しかないんで2つ目に当たったホテルで宿をとることにした。(140FF。)宿のおじさんはとても親切で、いろいろ俺に気を使ってくれた。
2時まで中には入れないと言う事で、今回の旅に使う自転車を探しに行きがてら、町を散策することにした。とても空気のうまい田舎町だ。
ヌフシャトーでも彼女は伝説の英雄なんだろう、ジャンヌの銅像が2箇所、誇り高く聳え立っていた、・・・胸が高鳴る。
ここから、マーク・トウェインの物語が始まった。ジャンヌとは直接関係はないが、"シュール・ルイ・ド・コント"という架空の人物が生まれた町。そう思うと、自分がそれになりきってしまったほうが、この旅もまた違って面白いかもしれない。
自転車屋はあっさりと見つかり、後は選んで購入するだけ。もうまるでシナリオを事前に作ってくれていたのではないだろうか?と思うぐらい、あっさりと見つかり、少しホッとした。それにしてもここは寒い。スペインの陽光に馴れていたせいか、あまりに寒いフランスはまだ、夏になるにはチッとばかし時間がかかりそうだなあ。
晩飯を食べに近くの"長城"という中華料理を食べに行くが、予想以上に高いビールと肉野菜炒めと白御飯で68FF(1500円)やはりフランスは高い。スペインとはやはり物価が違うみたいだ・・・本当に長居はできない。
この地を守る、町の丘にそびえるジャンヌ。 町の西はずれに身を置くジャンヌ。

5月3日dimanche(曇り時々晴れ)/AM8:20起床
ヌフシャトー(Neufca^teau)⇒ドンレミ・ラ・ピュセル(Domremy-la-pucelle)

夜中に何度か目を覚ました。
そしてまたお袋の夢を見た。
今度は懐かしい元気だった頃のものだった、何で今頃こんな夢ばかり見んだろう・・これから先の旅の何かの暗示か?
今日は日曜日で、町の中はひっそりとしている。おまけに夜、雨が降ったんだろう道路がかなり湿っていた。
DVを持って、近くのパン屋でパンを買い(61FF。高い!)いざ出発。ヌフシャトーのジャンヌ・ダルク広場から歩いて、ヌフシャトー駅に行き、そのまま、ドンレミーの村まで片道10Km歩くことになる。途中、道に迷いながらもなんとか道を探して歩く歩く。
歩いていると、歩道が無いんで、車が通ると、冷や汗が出るくらい怖い。ダルイし、寒いし、怖いが、それ以上に景観がキレイなんで、その気持ちが薄れるくらいだ。"これで天気がもっと良ければ・・"と贅沢を言う俺。
途中、Cousseyという町があり、この町がちょうど半分ちょっとくらいのところだ。ここまで1時間半くらいかかっている。しかし、後、4Kmでドンレミだ。・・胸が高鳴る。”どんな村なんだろうか?”と・・
そして、バジリカ教会が丘の上に見え、さらに進むとドンレミの村まで後500mという看板が出てきて、その頃には、頭が少し"飛んで"いた・・なんかこれが俗にいう""夢心地""と言うやつなんだろうか?
ムーズ川にかかる橋を渡り、いよいよドンレミ・ラ・ピュセル(乙女のドンレミという意味らしい)、ジャンヌ・ダルクの生まれた村に入る。
入ってすぐにジャンヌの生家と思われる家があり、その家の廻りを柵で囲われていて、多分、建物の老朽化が激しいんだろう補強作業をしている感じだった。中はひっそりとしていて、とても広く、2階もある。3つくらいに部屋が分かれていて、中には記念の銅像もあった。日本人にもジャンヌ・ダルクのファンがいるのだろう、ちらりほらりとメールが刻まれた手帳が置いてあった。
生家の隣には、ジャンヌ・ダルクの功績を記念して建てられた教会があり、その教会では敬虔なカトリック信者の青少年達やご老人がお祈りをしていて、とても厳粛なムードだった。この教会の中の雰囲気とニオイは独特なもので、一生忘れられないものだった。
しばらくドンレミを散策してから、バジリカ教会に行く。
バジリカ教会は、ドンレミの村から1.5Km離れた丘の上にあり、非常に見晴らしがよく、多分、貴女の方ならウットリとしてしまう光景だろう。(もっとも、俺は♂なんでそんな感情はわかなかったが・・・)教会の中も、とても神聖なもので、俺なんか入ったらバチが当たるんじゃないかと思われるくらいステンドガラスと、ジャンヌの為に描かれた絵が美しく、物語が鮮やかに再現されていた。観光客もまばらで、思っていたほどひっそりとしていた。そして、俺がドンレミに来てどうしても見たかったのは、泉に聳え立つ""ブールルモンの妖精の木""だった。
丘の南に下がった野っぱらに大きな木が3〜4本空高く聳え立ち、その木の間でジャンヌ・ダルクが大天使ミカエルから『天の声』を聴いたとされる場所である。今は、申し訳ない程度のジャンヌの銅像が、一つポツンとあって、その銅像の足元で水が絶え間なく、チロチロと流れていた。
もう""泉""は渇れ果ててなくなったんだろう・・しょぼいものだが、ないよりましだなあ。少し期待していたものとは異なっていたが、それでも""ブールルモンの木""(どれが本当の木かわからないけれど・・・)は、堂々と神々しく聳え立ち、すごく胸を打たれた感じだった。さらに下の野原では、羊が群れをなしていて、なんとなく時代は変わったが、
そんな事が本当にあったんだろうなあと改めて、実感した。
帰りも同じルートで歩いて帰るが、俺の願いが通じたのか、太陽が見え隠れするようになり、""ここ""もだんだん春めいたきたのかなあと感じた。
なんとか往復20Kmという長い道のりだったが、すごく俺自身、満足のいくもので"やっぱり来てよかった"と改めて実感した。明日もドンレミまで行って、一泊して自転車で旅を始めるつもりだったが、今日、明日と肝心の自転車屋さんが閉まっていてどうしようもない。しかたないんで明日朝、バスでドンレミまで移動して、ドンレミで一泊してから、再びヌフシャトーで自転車を買って旅をするか、それとも、もうヌフシャトーを出て、少し大きな町であるCha^umontという町まで出て、自転車を購入しようかどうか迷っている状態だ。
ジャンヌ・ダルクの生家。 ’天の声’のモニュメント。後ろはホテル・バジリカ。

5月4日Lundi(曇り)/8:40起床。ドンレミ・ラ・ピュセル(Domremy-la-pucelle)

本当、毎日憂鬱な朝だ・・・。
スーパーでメガネ修復の為の瞬間接着剤を買いに行き、そのままホテルをチェックアウトする。(285・5FF)
朝、どうしようか迷っていた。今日もし、ドンレミまでのバスが運休なら、そのまま昼過ぎの列車でDijonまで出て、それから自転車を探して旅を続けようか?それともバスがあれば、そのバスに乗り込んで、ドンレミで一泊してから、再度ヌフシャトーに戻り、自転車を購入して旅をするかどうかを・・・。
結局、バスがあったんで、それに乗ることにし、やはり予定では、ドンレミで一泊してから旅行を続けよう(ドンレミから自転車旅行が始まる予定だった)と決めていたんで、昨夜、ちょっとした出来事(メガネが割れた・・・不吉な予感)もあったんで、これは多分、予定通りに旅を続けろということなのかと自分で思い込み、そうした。
’ブールルモンの妖精の木’の下で・・’天の声’は?
ドンレミ・ラ・ピュセルで一泊する⇒
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